2021-05-24

東京工業大学情報通信系の卒論・修論用 LaTeX テンプレート


はじめに

大学生活において、いわゆる「理系」の学生は、学部(とか学士)過程に所属する場合は卒業論文(いわゆる卒論)を、修士過程に所属する場合は修士論文(修論)を、卒業前に書くことが多いと思います。ぼくの所属する東工大の情報通信系も例外ではありません1。もちろん研究そのものは大変ですが、加えて、学生にとっては論文自体を執筆することも結構大変だったりするのではないかと思います。なんの話かというと LaTeX の話です。

LaTeX

情報系の学生が卒論や修論を書くときは LaTeX を用いて書くことが多いと思いますが、なんというか、LaTeX をちゃんと使いこなすことはとても難しいです(というかまあ無理です)。東工大情報通信系では非公式?の卒論 LaTeX テンプレートが系内のローカルページに置いてあり、修論に関してはテンプレートがないようです。卒論のテンプレートはちゃんとした表紙を作成するには十分ですが、それなりに綺麗な論文を書くためのテンプレートとしてはやや物足りません。修論に至っては前述したようにテンプレートがないです。そこで学生は卒論や修論を書く際に先輩のソースをコピペして改変して……、ということが繰り返し行なわれる結果……。

(とりあえずの)解決策

そんなわけで上述の卒論のテンプレートをベースにして、ある程度綺麗な論文を書くために必要な最低限のパッケージを記述したり、その使い方をソース内に参考としてちりばめたテンプレートを作成しました。こちら のレポジトリになります。せっかくなので修論にも対応しました。トップファイルにあたる main.tex を見れば使い方は分かると思います2。なお本テンプレートは基本的に東工大の情報通信系に所属する学生向けですが、LaTeX で初めて卒論や修論を書く学生は参考にできる点があるかもしれません。

Overleaf を使って卒論・修論を書く

もう一つ LaTeX の問題として環境構築やコンパイルが面倒、という話があるかと思います。今ではインストールもクリック数回、コンパイルも latexmk を使えばソースファイルを保存する度に再コンパイルできて(ファイルに更新があったら自動で表示を更新する pdf ビューワを使っていればなお一層)便利ですが、環境のインストールやメンテナンス自体が面倒です。そこでここではウェブブラウザから利用できるオンラインの LaTeX 環境である Overleaf の使用を推奨します3

  1. まず、ここ でアカウントを作ります(無料アカウントのままで良いです)。
  2. ここ から ↑ で紹介したレポジトリを zip ファイルにしたものをダウンロードします。
  3. Overleaf で「新規プロジェクト」→「プロジェクトのアップロード」を選び、2. でダウンロードした zip ファイルをアップロードします。
  4. デフォルトの設定ではコンパイルが失敗するので、「メニュー」→「コンパイラ」→ pdfLaTeX を LaTeX に変更、とします。
  5. 再コンパイルします(右側のプレビュー画面の左上にある、右回りの矢印 2 つで円になっている緑色のボタンをクリック)。

これでたぶん論文の pdf ファイルが生成されるので、あとは左側のエディタを用いて自由に記述していけば良いです。デフォルトでは、main.tex を見れば分かるように、examples フォルダにあるサンプルファイルをコンパイルするようになっています。

まとめ

東工大情報通信系の卒論・修論テンプレートと、そのテンプレートを使って Overleaf を使って論文を書く方法を簡単に紹介しました。少しでも学生の助けになれば嬉しいです。質問やコメントなどありましたら メール してください。テンプレートはどんどん良いものにしていきたいので4、プルリクエストもお待ちしております!


  1. ただし東工大では卒論ではなく特別課題研究、略して特課研、と呼ぶそうです。卒論は特課研報告書。本当です。 

  2. 卒論と修論の切り替えは bthesismthesismain.tex 内を検索してください。 

  3. Overleaf の重要な特徴は共同編集ができることですが、ここでは触れません。 

  4. 最初の方に書きましたが LaTeX は使いこなせないので……、改善の余地は大いにあります(ぼく自身の LaTeX 力の向上につながると嬉しいです笑)。また、一例ですがぼくの専門分野ではそんなに数式を扱わないので数式の書き方のサンプルなどは現状含まれていません。